私のアオハル(理想)はそうじゃない
「手紙書くからね〜!!!」
「私も書くよぉ〜!!」

今生の別れでもないのに、今時携帯を持ってなくてLINEを交換出来ない私は無様に泣き喚く。

客観的に見るとちょっと…かなり、汚い。
まあでも、LINE交換出来ないとかなり不便だよね、実際。周りの子達は皆スマホ持ってるし、LINEにTwitterにInstagram!なんでもスマホに頼りっきり。

スマホが無いと休みの日とかの遊ぶ約束も出来ないし…あーあ、不便。

でもでもなんと、無事高校に合格したから、私も晴れて携帯、もとい、スマホデビューなのです!

なんて浮かれた気持ちで始まった高校生活。
高校生になったら、恋にバイトに友情に!なんでも出来てキラキラした素敵なJK生活が送れるはず!…と、思ってた。中三まではね。

実際問題そんな甘くないって、やっぱり…。


とまあこんな感じで現実世界、主に勉強面や恋愛面ね。そんな世知辛さに打ちひしがれてるのは、一応この物語のヒロイン、綾瀬花音(あやせかのん)。

市内でも下から2番目の底辺で治安の悪い事で有名な公立中学校をギリギリの成績で卒業、100%落ちるって言われてた公立高校にも何とか合格した。市内で下から2番目である事実には変わりないけどね。

そんな底辺中学でも底辺だった綾瀬の高校生活は、バイトや恋に浮かれていられる場合じゃなかった。
受験勉強の賜物か、1度目のテストは上々。
学年でも総合で300人中100番以内に入れた。

でも壮絶なのはそれから。

100番以内に入れたという自信から天狗になった綾瀬は、その後下りの坂道真っ逆さま。
成績は面白いように下がり、這い上がれないほどになった。
今では週一、毎週土曜日に8時間シフトで姉の知り合いが主任をしている所にバイトに入り、毎週火曜日に家庭教師に来て貰っている。
それでも勉強は追いつかないが、本人は学校生活が充実しているので喜んでいる。

同じクラスにも他クラスにも友達は居るし、文芸部所属で主な活動は文化祭での小説作り程度の幽霊部活だが、先輩は優しいし同じ部活の子とも仲良くなった。
バイト先の先輩も優しい人達ばかりだし、美人やイケメンばかりで目の保養にもなる。家庭教師に来てくれている吉田拓郎(よしだたくろう)も名門大学の一年生でイケメンだし、なんの幸運か、綾瀬が入った高校は勉強よりも文化や運動部に力を入れている高校で、更にイケメンが多い。面食いな綾瀬には天国のような学校であった。
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