曇天の光
「今だ!!」

半兵衛の合図に、政宗は機関銃を発砲した。半兵衛ではなく、窓ガラスに。ガラスが割れて隙間ができる。

道三たちが唖然としている間に、政宗は素早く長テーブルの上に置かれた紙の束を窓から放り投げた。地上にいた人々は紙の束を拾い、驚きの声を上げている。

「なっ……」

道三と天海が顔を真っ青にする。紙の束を手にした市民たちの顔は、見る見る怒りに染まっていった。政宗は半兵衛の縄を解き、二人を見つめた。

「おとぎ話のように、現実は甘くないんです。幸せに「いつまでも」なんてない……。学習できましたか?」

「久しぶりに楽しいゲームができましたよ。ありがとうございま〜す!」

政宗と半兵衛はそう言い、呆然とする二人を残して部屋を出た。

廊下を歩く二人は無言だったが、互いの手が同時に動き、「やったな!」と言うようにパンッと重なった。



それから数年後、政宗は特殊警察のトップに立って日々事件と向き合っている。

「政宗様!半兵衛からの予告状が届いたそうです!」

部下の言葉に、景色を見つめていた政宗はぐるりと振り返る。その目は不敵に微笑んでいた。

「次こそ奴を捕まえるぞ!」

「はい!」

政宗は部屋を出て行く。その様子を、向かいの建物から半兵衛が見つめていた。
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