国中総てに虐げられてた私は未来の皇后?

陰謀(シルフィ)

[シルフィ視点です。双子の1人です]






「ねぇねぇ~お母様~
わたくしこんな国嫌ですわ~市民も貴族も黒色を纏っていますもの!
何故アンソニー様は、主要の貴族達をこんな下賎な国で開催される舞踏会に、出席する様命令されたのですか?」


明日は舞踏会ですわ、無事にそれぞれのドレスも決まりました。
残念ながら既製品ですが、わたくしが着るのですもの何でも着こなしますわよ。
それに、とても可愛いのですよ。
国が違うとドレスも違うものですのね。
びっくりいたしました。

宝石は、我が国の方が種類も豊富でとても綺麗ですわ。 
この国の宝石は、色彩も輝きもいまひとつですわね。

それにしても先程から、ミルフィがうるさいですわ。
わたくし、お茶は静かにいただきたいのに。

小間使いのあの子が居なくなったおかげで、我が屋敷では美味しいお茶が飲めなくて、イライラしていたのですが今、泊まっているお屋敷は、とても美味しいお茶がいただけて嬉しいのです。
帰ったらメイド達を教育し直す様に、お母様に言わなければならないわね。


「ミルフィ。我が国マーテェフェルは、意識的に誇りを持ち、今迄他国との貿易も無く閉鎖していたのです。

アンソニー様が、他国の学園に学友数人と、留学などされると言われた時は、国の皆が反対しましたのよ。ねえ旦那様」


「そうだ!あの時私を筆頭に、王に撤回を求める声をあげたのだが、王も王妃も断固として譲らなかった。

その結果があれだ!!!アンソニー様は変わられた。
私は認めないぞ!本来ならこんな悪しき国に足を踏み入れるなど、息をするのも穢らわしいわ!
目的が無ければこんな国、誰が来るものか!!」


お父様はかなりお怒りの様ですわ。目的とは何でしょうか?
聞きたいのですが、わたくしお茶は静かにいただきたいのです。


「お父様、目的とは何ですの?舞踏会ですか?舞踏会でわたくしアンソニー様と踊りたいですわ。
ゆくゆくは、お嫁さんになりたいのです。子供の頃からの夢ですもの」


「何を言っているの!?アンソニー様は、わたくしと結婚いたしますのよ!」

「お前達の様に美しい者は、アンソニーより、もっといい男が現れる。
我が家の姫君達よ!お前達は本物の姫にはなりたくはないか?」

「「本物の姫!?……なりたいわ!美しいわたくしは、姫に相応しいわ」」

「旦那様、それではわたくしはお妃様ですの?」

「そうだよ。皆、とてもよく似合いそうだ」


お父様は、嬉しそうに笑っておられるわ。
わたくしもワクワクしてまいりました。
お母様が、睡眠不足はお肌に悪いとおっしゃるので、わたくし達は部屋に入って休みます。

部屋に向けて歩いていると、階下でバタバタ多数の足音が聞こえてきましたわ。
こんな夜更けに煩いですわね、どちらの方なのかしら?文句言ってもよろしいわよね!!

階下に降りて行きましたら、お父様でしたわ!
お父様と多数の方々が、何やら物々しい気配を、醸し出しております。

そして、こんな夜更けなのに皆様、出掛けて行きましたわ。
どちらに行かれたのでしょうか?


「シルフィ!!何処にいるの?」


ミルフィが呼んでいるわ。行かなければ、あの子気難しくしつこいのよね。困った子よ。






《翌朝》



起きて食事をしていますと、お父様が怖い顔でわたくしの所に来ましたの。
ミルフィとお母様は食べ終えて、お庭の薔薇を見に行きましたわ。

「おはようございます、お父様」

「シルフィ…お前はこの国の者を、どう思う?」

「穢らわしい存在です。生きる価値も無い、あの子と同等ですわ」

「ならば…今夜の舞踏会の時、この瓶に入っている液体を、食べ物に入れなさい。
スープの様なものに入れるといいからな。
お前達は食事には手をつけない様にするのだぞ」


お父様は、手に小さな濃緑色の瓶を持ち、慎重にわたくしの掌にそっと置きました。


「……お父様これは……」

「必要な事だ!やってくれるな」

「はい。お父様」


お父様は、お忙しいのかすぐさま何処かに行かれました。
私は瓶を眺め……ポケットへ大事に収めました。


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