。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。

「あれ?」どこへ行ったんだろ…トイレかな~?


と考えてると


「お嬢!!?」


ふとこっちを見た、ユズが目を丸めて、しかもバッチリ目もあっちまったから言い訳できねぇ。


まだメニュー表で顔を隠していた叔父貴が「あちゃー」ってな具合で額を手で覆っている。


観念したのか叔父貴がメニュー表を下げると


「かっ!!!おじょっっ!?」


どうやら『会長!お嬢!?』と言いたかったらしい、ユズはその場で硬直。


盗み見してたあたしたちが完全に悪いのに、ユズは酷く恐縮したように、こっちに近づいてくると


「居らっしゃるとは思わなくて、申し訳ございやせん!」


と任侠座りで深く頭を下げてる。


てかユズ!その挨拶やめろ!!ソッチの人だとすぐにバレちまうじゃねぇかよ!とあたしが目を吊り上げていると


「いや、いい。それよりお前のスケが戻ってくる前に俺たちは退散する」


叔父貴はまだ残った料理たちをちょっと気にしたように視線をやって、すぐに伝票を手にする。


「い、いえ!!スケじゃなくって!」


とユズは言い訳(?)をしてる。必死感がパない。


「いいって、俺ぁ何も思わない。それよりお前のスケが戻ってきたら、お前やりづれぇだろ?」


と叔父貴が片眉をちょっと吊り上げる。


「そりゃか……まぁ……」言いかけて慌てて口を噤むユズ。


「いえ!俺たちが店を変えます!」と早口で言い


「今店を変えたら不審に思うだろうが、お前はゆっくりしていけ」


叔父貴は半ば強引に言って、ユズのテーブルに万札を数枚置いた。


「へ!?」


ユズがびっくりしたように目を開き、テーブルに置かれた札と叔父貴を交互に見る。


「臨時ボーナスだと思って受け取っておけ」


叔父貴はユズの耳元でこそっ。


「朔羅、行くぞ」と腕を引かれて「あ!うん」と慌てて立ち上がる。


「お嬢!」その後を何故かユズが追いかけてきて


何だよ!せっかくの居酒屋デビューだったのに邪魔しやがって!!


と、ほとんど八つ当たりだな。ユズを睨むと





「このことリコさんには黙っててください」






と、ユズは至極真剣に、これまたコソッ。


ユズ……




いい加減リコを諦めろっ!!





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