。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。



何なのよ!


あたしは手近にあった枕を食事途中の響輔に投げつけてやると、響輔はお弁当を頭上に持ち上げながら器用に枕を避けて


「何なん!」と目を吊り上げた。


何なん、ってあたしが言いたいわよ!


バカみたい、あたし一人で盛り上がっちゃって。そのせいであたしはこんなことになってるって言うのに。


と考えて、すぐに


違う


と頭を振った。あたしがこんなことになったのは響輔のせいじゃない。




あたしが弱かった……


響輔に出会って、響輔を好きなって、その気持ちと比例するようにどんどん怖くなった。


最初は愛は奪うもの、ホンモノの愛なんて存在しないって言ったのに。


でも


違った―――




あたしは見つけたの。



本当の愛ってものを。


それは少しの衝撃でも簡単に壊れてしまう脆いものだけど、でもそれ以上にあったかい。


ママも鴇田に同じ想いを抱いたに違いない。



思わず俯いてると、響輔は頭の後ろを掻き


「ほんまは覚えてるけどな……」


え―――……?


「まぁ自分の言うたことぐらい自分で覚えてるし、責任も持ってるけどな。


なんや……こう……ね…」


と響輔が言葉を濁し、顔を背ける。


その白い肌が僅かにピンク色になっていて―――


「きょうす……」


“け”


と言い終わらないうちに、響輔の顔が近づいてきて、あたしの唇にそっと口づけ。




< 88 / 414 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop