アラサー女子は甘い言葉に騙されたい



 自分のドロドロとした醜い感情。
 それをさらけ出してしまったら周はどう思うだろうか?失望するだろうか。それとも1人の客として慰めるのだろうか。
 そんな後悔が後から襲ってくるけれど、もう今の言葉は彼の耳に入ってしまっている。言わなければ良かったと思っても遅いのだ。

 彼の次の言葉が怖い。
 視線が怖い。
 表情が怖い。

 そう思ったけれど、次に感じたのはそのどれでもなかった。
 気づくと周に引き寄せられ、そのまま吹雪の体は彼の腕に包まれていた。
 彼の温かいぬくもりを感じ、驚いて、吹雪は体を硬直させてしまう。


 「あ、周くん………あの………」
 「そうやって好きな人を探していくのも、恋愛の1つのあり方だと思うよ」
 「……ぇ……」
 「全ての人が始めから相手を好きだったり、一目惚れだったりするわけじゃないと思う。まだ知らない段階で、知るために恋人になる人もいるんだから………。辛いことをされたのに、そうやって自分を責めないで」
 「………周くん………」



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