アラサー女子は甘い言葉に騙されたい




 「いい雰囲気のお店だね」
 「はい。俺も気に入ってて………吹雪さん、和菓子とかあんことか好きかな?」
 「うん、好きだよ。お正月はお汁粉作ったりするし」
 「そうなんだ!吹雪さん、料理好きなの?」
 「そうだねー。実は結構作ったりするかな」


 吹雪がそう言うと、周は「いいなー。お汁粉食べたくなってきた」と言って、わらび餅とお汁粉。吹雪は抹茶アイスが入った、餡蜜とほうじ茶ラテを注文した。

 吹雪は一人暮らしという事もあって料理が好きだった。下ごしらえをして次の日の料理の準備をしたり休みの日はお菓子を作ったりしていた。得意料理やおすすめの料理の話をしていると、あっという間に注文していた甘味と飲み物が届けられた。
 とても美味しそうな甘味と香ばしいお茶の香りが吹雪を魅了したけれど、もう1つ目を引くものがあった。


 「この器………とっても可愛い」


 餡蜜が入っていた器はコロンとした丸みがある器で、底の部分が湖のようなエメラルドグリーンに似た蒼だった。縁は茶色になっており、お洒落な雰囲気にもなっており、いろいろな料理にも使いやすいなと思った。
 両手で器を持つと、手にフィットしてとても持ちやすかった。蒼い色がとても綺麗で、餡蜜の隙間から見える色を眺めていた。



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