恋に負けるとき

上がったボールと恋の行方の巻








体育の授業。




体育館で、男女ともバレー。




思いのたけを込めて打った




渋谷のスパイクが、鋭くコートに刺さる。




「バレー部が本気出すなよ。」




「誰も取れねえって」




「さてはお前、女子の皆さんに




キャーキャー言われるつもりだろ」




ツレのヤジも無視。




すっきりしねえ。




ぐちゃぐちゃの頭ん中。




あきらめないって思ったものの




もう、振られてしまったおれは




どう動いたらいいんだ?



…




ちくしょう。




スパイク打ちまくってやる。




ハアハア。




息が上がる。




体育館の壁にもたれて、座り込む。




「そりゃあんだけ打ち込んだら、




バテるだろ。




試合かと思ったわ」  




友だちのタケが、笑っていう。




うつむいて、肩で息する渋谷のあごから




汗がポタン




一粒落ちる。




はあ。




顔を上げる。




いっぺんで、




女子の中から田所さんを




探し当ててしまう自分に




内心苦笑する。




おれ、こわ。




でも…田所さん。




こっち、見てた?




田所さんが、視線を外した。




おれだって




気づいたのかな?




2年になって、園芸委員じゃなくなった




田所さんは




もうあの花壇にはいない。




違うか。




ただ、目があっただけか。





何気なく見てたら、昨日振った男と目があって




気まずい。




みたいな?




はー、




きつ。




どうすりゃいいんだ。


< 15 / 71 >

この作品をシェア

pagetop