恋に負けるとき



時がとまったように




おれは目前の田所さんから




目が離せなくて




彼女を見つめたままだし。




田所さんも動けないみたいに




おれを見ていて。




繋がれた右手から田所さんの熱を感じて




激しい鼓動の音だけが



耳の中で聞こえる。



おれの腕は




本能的に動いて



白くてツルんってした



キミの頬に



俺の指が触れる。



かすかに震えて



脈打つ肌。



引き寄せられるように



そのくちびるに触れたくなる。
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