続・闇色のシンデレラ
「ねえ、凛」




するとシンデレラは向かい合わせに設置してあるソファーに帝王と並んで座った。


何してるんだ?


俺はあんたたちと対話できるほどお偉い身分じゃないのに。




「本家においで」

「本家……?」

「ここよりもっとあたたかい所。あなたらしく居れる場所」



……居場所を提供するってのか。

そういや、そんなことも言ってたっけ。

だけど。




「俺の居場所は、もう、ないよ……」



空のペットボトルに視線を注ぐ。



「これから作ればいい。その足で進めばいい」

「いいや、俺は進まない。俺は独りぼっちだ、永久に」

「……わたしもそう思ってた。あなたとわたしはよく似てる」

「違う。あんたには……その人がいる」

「わたしが似てるっていうのは、志勇に会う以前のわたしよ」




後ろ向きな俺を前進させようとするその人は、不意にトーンを落とした。




「凛にはちゃんと話すね。わたしの過去のこと。
長くなるかもしれないけど、最後まで聞いてくれる?」

「……壱華」

「大丈夫、志勇がいてくれるから」



そして心まで美しいシンデレラは、愛する男の手を握りながら自身の生い立ちを語ってくれた。


それは俺が知っているシンデレラより、もっと悲しい物語だった。
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