続・闇色のシンデレラ
空いている客間に案内してもらってそこにお母さんを呼び込んだ。


彼女と対面し、志勇と隣り合わせで座っていると「連れてきました」と剛さんの声が聞こえた。



「おいで」

「失礼します」



襖が開かれ、剛さんの後から入ってきた凛。


彼はぺこりと頭を下げて、わたしより少し後ろの位置に正座した。



「あら、可愛い女の子ね」

「……おふくろ、男だ」

「え?やだごめんなさい。綺麗な顔立ちしてるから女の子かと」



するとお母さんは笑いながら凛に話しかける。



「あなた、お名前は?」

「凛太朗、です」



彼の目をじっと見つめたお母さんは、次にわたしを見やった。



「壱華ちゃん、この子をどうするつもりで連れてきたの?」

「身寄りがないそうなので、本家で預れないかと」

「あなたを撃った組の※残滓(ざんし)なのに?」



感情のない声が発せられると、凛は膝に置いた手を握りしめ、唇を噛む。


その様子をお母さんは笑みを消して観察していた。



「凛太朗と言ったかしら。あなた、わたしの大事な娘を傷つけようとして事務所に発砲したんでしょ?
危険だわ、またいつ牙を剥くとも限らない」

「もう、あんなことしません」

「なぜそう言いきれるの?」

「それ、は……」



辛辣な言葉を少年に投げかける荒瀬の姐。


彼女は凛を試していた。


凛は言葉に詰まってしまったけど、目を逸らそうとしない。


するとお母さんは一転して笑顔になった。



「うん、いいんじゃないかしら」







※残滓……後に残ったもの、残りかす
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