エレベーター
☆☆☆

大急ぎで3階へ向かったあたしたちだが、やはりエレベーターには変化がなかった。


画面上ではいまだにエレベーターが上下運動を繰り返し、その度に幸生は体中を打ちつけた。


「嫌……止まってよ!」


画面へ向けて叫ぶ一穂は、ボロボロと涙をこぼしている。


さっきまで悲鳴を上げていた幸生だけど、今は意識を失ってしまったのか完全に黙り込んでいた。


重力に逆らうこともできず、まるで人形のようにエレベーターに弄ばれている。


やがてその体には血が滲み始めていた。


最初は鼻をぶつけたらしく、顔が血まみれになった。


次第に切り傷が増えてあちこちが赤く染まる。


強くぶつけたせいで骨折したのか、手があらぬ方向へ向いていた。
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