エレベーター
先生から呼び出されたのは翌日のことだった。


幸生を見つけた第一発見者で、救急車を呼んだのはあたしたち3人だからだ。


応接間のソファに横並びで座ったあたしたち3人を見つめて「昨日はなにがあったんだ?」と、先生が質問してきた。


いつもと同じ口調だけれど、その中に冷たいトゲがあるように感じられた。


「幸生は、エレベーターに乗ったんです」


あたしは震える声で言った。


「またエレベーターか。あれは使えなくしてあると言っただろう」


先生が苛立っているのが感じられた。


だけどこれは事実なのだ。


「エレベーターのドアを開けてもらえればきっとわかります! 幸生の血が……ついてるから」


最後の方はほとんど聞き取れないような声になってしまった。


あたしの右隣に座っている一穂が、一瞬ビクリと身を震わせた。
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