エレベーター
画面上にも充弘と一穂の姿が見られなかった。


ただ、オレンジ色に染まる空が見えるばかりだ。


変だな……。


そう感じながらあたしはどうにか立ち上がり、1階へと急ぐ。


咲子さんの身に起こったことを説明して、これからの対処法を考えるんだ。


まずは前原に接触するべきかもしれない。


あの時名刺をもらっておいてよかった……。


そう考えながら昇降口を出た瞬間、倒れている充弘の姿が目に飛び込んで来たのだ。


一瞬なにが起こっているのか理解できず、体が動かなかった。


でも次の瞬間には駆け出して、充弘の隣に膝をついていた。


「充弘どうしたの!?」


叫ぶように声をかけると、充弘が眉を寄せてゆっくりと目を開いた。
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