春学恋愛部
クリスマスの結末
「お前…………ふーん。
後でたっぷりお仕置きされたいってことか……」
眉間に皺を寄せて不機嫌な目つきで上から下まで柚果を見つめた後、冷たい声で海斗が言った。

「俺はもう行くから、お前他の男に近づくなよ」

「はぁい」と目を伏せて答える柚果の服装は、紺のワンピースではない。
明るいピンクのワンピースに華やかなアップのヘアスタイル。

もちろん華と鈴花の見立てだ。

「やっぱり怒られたじゃない……」
呟いた柚果のもとに鈴花が駆け寄って来た。
数歩後ろを歩いているのは着慣れないタキシードを身に着けた正樹だ。

「先輩の顔!見てたよー。
柚果に見とれてたって感じ。絶対可愛いと思ったんだよ。素直じゃないからわざと不機嫌な顔してたみたいだけど、心配しなくても大丈夫だよ。すっごく似合ってるもん」
早口で捲し立てる鈴花には言い返す暇もない。

「鈴花ちゃん、柚果ちゃん」
二人が振り返ると、こちらもタキシードを身に着けた拓馬が立っていた。
可愛らしい印象なものの、正樹と違って着られている様子はない。

「拓馬くん。あれ、華ちゃんは?」
尋ねる柚果に、少し強張った顔を向ける拓馬。
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