春学恋愛部
永遠かのような長い時間は、勢いよく近付いくる足音と共に終わりを告げた。

「ごめん、待たせた?」
開いた扉の向こうから、額に汗を光らせた正樹がやって来る。

「さっきは急に、ごめんなさい……」
急に心臓の音が煩く感じて、鈴花は小さな声になる。

「どうしたの?あんなところで声かけてくるなんて、正直驚いたよ」

「先輩、女バスの先輩に、何か言われました?私、話したいことがあって」

「何かって……何も言われてないけど?」

全く心当たりがない、といった顔をして首を傾げる正樹に対し、鈴花は思いきって切り出した。

「先輩は、私のこと、どう」
そこまで言った鈴花は、正樹の「待って」という言葉に遮られて口をつぐむ。

不安な面持ちで正樹を見ると、真剣な表情で鈴花を見つめる正樹と目が合った。

「俺がはっきりしないから、もしかして誰かに何か言われた?嫌な思いをさせたのならごめん。
話を聞く前に、俺の気持ち……聞いて欲しい。
君は本当に可愛くて、人気があることは知ってる。
俺頭良くないし、君には釣り合わないって思ったりもしたけど、やっぱり……
好きなんだ。俺と、付き合って下さい」

ゆでダコみたいに真っ赤になる正樹を微笑ましく見ながら、鈴花は思っていた。

やっぱり私も、正林先輩が好きだ。
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