クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
「……元婚約者をそういうふうに言うと、深読みするんですけど」
「え」
「いい人なのはわかりました。でも、私の前で褒めないでください」

 受け入れてばかりも、飲み込んでばかりもいけない。言いたいことは言うべきだと思って、ためらいがちに告げる。
 でも、あまりに図々しい気がしてうつむいた。
 きゅ、と夏久さんの袖を掴む。

「……ただの嫉妬です。ごめんなさい」
「君も嫉妬するんだな……」
「だって、あんなきれいな人なんですよ」
「俺は雪乃さんの方がいい」

 よしよしと頭を撫でられて、子供扱いされているように感じてしまう。
 欲しい言葉と、優しいぬくもりと、どちらも嬉しすぎて恥ずかしい。
 このままうつむいて顔を隠していたかったけれど、いい加減きちんと向き合うべきだろう。
 顔を上げて、夏久さんを見つめる。

「……私も夏久さんが好きです」

 以前は勢いで言ってしまったことを、ちゃんと伝える。
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