クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
「別に愛されていなかったわけじゃないだろうし、今まで文句も言わずに生きてきた俺も悪いから」

 夏久さんがそう思えるようになったのは、私との出会いがきっかけだったという。
 大切な人のなにかを変えられたなら、こんなに嬉しいことはない。

「雪乃、もっと夏久くんと寄りなさい」
「って言っても私、ベッドから動けないよ」
「俺が動かなきゃいけなかったな」

 娘の顔が見えるようにしながら、夏久さんが私の肩を抱いて寄り添う。
 ふ、と吐息が耳に触れた。

「最初の夜に感じたことは間違いじゃなかったな」
「え?」

 父が構えるカメラを見つめなければならないせいで、夏久さんの顔を見られない。

「君との出会いは奇跡だと思った。人を好きになるってこういうことなのかって」
「そんなことを考えてたんですね」

 ぐ、とさらに肩を引き寄せられる。
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