クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
・行き過ぎた心配

 新婚生活はかなり冷ややかに始まった。

(料理ができてよかった)

 夕方、夏久さんが帰ってくる時間に合わせて食事の準備をする。
 最新式のキッチンに最初は手間取っていたものの、今はどこになにがあるか、どうすればどうなるかを把握していた。

 夏久さんとの関係を少しでも改善させるためには、やはりこちらから距離を詰めつつ話を聞いてもらうのが一番だろう。
 そう考え、結婚した次の日から料理を試みた。

 といっても夏久さんは朝食を抜いて出かけることも多かったし、夕食も仕事のうちらしく、家で食べないことが多かった。
 だから実際に食べてもらった数はほぼないと言っていい。

 けれど今日はいつもより早く帰ってくるとのことだった。
 これまで夏久さんは徹底的に私を避けてきたけれど、さすがに今日は難しいに違いない。
 一緒に食事をするとなれば嫌な顔はされるかもしれない。でも、確実に話す時間は作れる。
 目的は誤解を解くこと。その次に――妻として認めてもらうこと。

 子供のためにもそれがいいだろうと、せっせとシチューを仕込む。
 そうしているうちにあっという間に時間が過ぎていった。
 玄関のドアが開く音が聞こえ、すぐ迎えに出る。
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