【完】君に惚れた僕の負け。
そんなに気に入ってるんだ……。



不思議と、嫌な気持ちにはならないというか、むしろ。



……嬉しい、とか思う自分もいて。



「そっかぁ」



次第に目は細まって、ほっこりと笑みがこぼれる。



朱里くんって、やっぱり可愛いとこあるなぁ。



「だってさぁ」



その声に振り返ると同時に前言撤回。



だってそこには、いたずらっぽさ200パーセントの表情を浮かべた朱里くんがいるんだから。



「……さっきのは何度思い出しても笑えんじゃん?」



くっくっくっと笑いを押し殺していた朱里くんがついに噴き出した。



「……ほんと、恋々だけはサイコーだな?」



朱里くんの今の表情っていうのは、全力で馬鹿にする楽しそうな悪魔の笑みで……。


朱里くんってひとはぁ……っ。



「っ、意地悪!」



右ストレートと伸ばした腕はひょいっとかわされた。



「じゃあ俺もう寝るから」


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