【完】君に惚れた僕の負け。

「ねぇ恋々、マジで行くの?」


「……うん」


「よく考えた結果なんだよな」


「……うん」


「……そっか」


夜逃げ前の会話みたいなことを、今日は何度もしている。


なぜなら明日から2泊3日で、あたしは修学旅行に行くから。


昨日まではすっごく楽しみだったんだよ?


パイナップルいっぱい食べようとか、海きれいかなとか、何着ていこうとか。
わっくわくだったのに。



『二日も会えないのかぁ……』


朱里くんがなにげなく放った一言のせいで、一気に寂しくなっちゃって。


『行きたくないな……』


なんて沸きたての本音を言ってしまって。


『さぼれば?』


そんなこと言われては夜逃げの腹をくくる会話を繰り返しているというわけ。


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