山窩村
一日目

ようこそ山窩村へ


「へ〜、ここにこんな村があったなんてな。全然知らなかった...」


鉄平は私の隣でボソッと呟いた。
確かに私自身もここに村があるなんて初耳だった。山沢トンネルと住んでいる場所は距離があるとはいえ、隣地区程度の距離だった。小さな神社ならまだしも、こんな立派な村を私は知らずにいた。


「結構綺麗な村だね。なんて言う村なんだろ...守知ってる?」


「いや....初耳だ。ここに村があるなんて...」


守は何故か顔を顰めて村を見ていた。まるで見たくないものを見ているような感じだった。


「守?どうしたの?」


私は守に尋ねると、守は額から流れていた汗を拭いた。


「皆....もう帰ろう。十分だ。」


「え?なんで?今来たばっかじゃ〜ん。あ、もしかして何か知ってるんじゃない?」


莉音はニタニタしながら茶化すように言うが、守の表情は変わらなかった。寧ろどんどん険しくなっていく。


「いや、本当に何も知らない...何も知らないこそだ。おかしすぎるだろ....村の入り口みたいなもんが御札がいっぱい貼ってある何の表示もない鳥居って...しかも誰もこの村を知らない...
全く持って直感だが嫌な予感がする。」


「う〜ん...確かにそうだけどさ、帰るのは早くない?私達は大発見したんだよ?もうちょっと探索してみない?」
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