大人になんて、ならないで。
「真矢ってさ、
何度も合コン誘われてんの。
今回は同じ高校の子の誘いだったけどさ、
たまに大学生の中とかに混じって行くんだって」
「へぇ…」
「早く大人になりたくて、
背伸びしてるんだよ」
真矢くんの部屋の方を見ながら、真優が温かいコーヒーをすすった。
「背伸び…しなくても十分なのに」
「ダメなんだよ。
背伸びしたって、絶対届かないんだから」
「え??」
「だから少しでも、近付こうとしてるんだよ。
“オトナ”にさ」
ふふ、と真優が笑うと、
あまりに上品で、言葉を失ってしまった。