大人になんて、ならないで。




「……ま、や、くん…」




真矢くんと、目が合う。



真矢くんの熱っぽい瞳が、僅かに揺れて。




「……」




怒ったような…拗ねたような顔を見せて、



落ちた上着を拾って、黙って去っていった。




真矢くんの背中が見えなくなって、バタンと玄関のドアが閉まる。




「……」




私は電気も付いてない真っ暗な廊下に、ペタンと座り込んだ。



真矢くん…どうして、





どうして…キスしたの?






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