恐怖症、克服しますっ!



気がついたら、教室まで来ていた。

教室の中には誰も居ない。

私はロッカーから、紙袋を取り出した。


一条くんに、渡そうと思っていたネックレス。

『好き』と書いた手紙。



私はその紙袋を手でぶらさげながら、ふらふらと教室を出た。


今頃、全校生徒は体育館で盛り上がっているんだろうな。

後夜祭も行われるから……。

男女ペアになって踊る伝統がある、後夜祭。


一条くんと踊りたかったなぁ。

目的無く、歩き続ける私。

時々すれ違う生徒は私を驚いた表情で見つめるけど、そんなのも気にならない。



一条くん、『好きな子』に会えたのかな……。

告白している最中なのかな。


涙が止まらない。



ふらふらと、たどり着いたのは屋上だった。


……一条くんとの思い出が詰まっている場所。


なんで、こんなところに来たんだろう。

一条くんは、ここには来ないのに。



『好きな子』のところへ……、会いに行っているのに。


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