もう一度あなたに恋をする

通じ合った気持ち

会議も終わり滝沢と江川さんと雑談をしていた。

「久瀬君、なんで今まであの子がアシスタントじゃなかったの?」

「すみません。これからは九条が担当しますんで。」

「江川さん、久瀬の初恋相手がその九条さんですよ。」

「おまっ、初恋って俺何歳だと思って・・・」

「へー、あの子がね。これから会議に来るの楽しみになった。」

はあ、滝沢以上に厄介な人にバレてしまった。
しかし初恋か・・・。確かに彼女に対しておこる気持ちは初めて感じるものばかりだ。

すると急に部屋の外が騒がしくなった。

「久瀬さん!九条さんが!」

青い顔をした寺川さんが会議室に駆け込んできた。
悪い予感しかしない。

寺川さんの後について行くと階段の踊り場に横たわる彼女が見えた。

「九条!」

人をかき分け彼女に駆け寄った。
頭部からの出血はあるが大量に出血してはいないようだ。しかし彼女の名前を呼び肩を揺らすが一切反応がない。
頭が回らない・・・。

「久瀬!」

俺に続き駆けつけた滝沢の声で少し落ち着きを取り戻した。

「あまり揺らすな。救急車は呼んだから。」

「わるい。」

その一言だけで話が通じる親友がいる事がとても心強かった。

「滝沢、救急車が来たら俺は九条について行く。後の事は頼む。」

「分かった。何時になってもいいから九条さんの状態連絡くれ。」

俺は彼女に付き添い病院へ向かった。
検査の結果、全身に酷い打ち身はあるものの骨折はしていなかった。
脳にも異常は見つからなかった。
しかし四時間近くたった今も彼女はまだ目覚めない。



彼女は目覚めないが滝沢に連絡を入れるため彼女のもとを離れた。

「まだ意識は戻ってないが脳の検査結果に異状はない。体の方も酷い打撲だけど骨折はなかった。」

「そうか。」

「俺は意識が戻るまで病院に残る。みんな心配で残ってるんだろ?もう大丈夫だから帰るように言ってくれ。それと数日入院にはなりそうだから松本さんに入院に必要そうなもの明日午前中に持ってきてもらえるように頼めるか?」

「わかった。」

電話を切り病室に戻った。十時を過ぎても意識が戻らない。
彼女の手を握りただ早く目覚める事を祈った。



早く目を覚ませ。もしこのまま目覚めることがなければ・・・。



時間が経てば経つほど悪い想像が頭を埋め尽くしそうになる。
もしこのまま彼女を失うようなことになれば俺はどうなってしまうのだろうか。
自分でも驚くほど彼女の存在が俺の中で大きくなっている。



彼女の意識が戻ったのは日付が変わったころだった。
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