もう一度あなたに恋をする

再び通じ合う気持ち

就業時間中に帰らされた大塚さん、翌日からは本当に出社しなくなった。

彼女が受け持っていた仕事をチーム内、別チームのアシスタントに振り分けたが、残りの三割ほどを私がこなす事になった。

復帰をしてからこんなに残業が続くのは初めてだ。遅くなった帰りも久瀬さんが車で送ってくれたが正直体力が限界に近い。たった一週間なのに。

大阪にいた頃は『それってブラックでしょ!』と友達に言われるくらい終電で帰るのが当たり前のような毎日だったが体力的に厳しいと思ったことなかったのにな。

年取った?
いや、これは絶対に入院&久瀬さんの過保護が原因で起こる体力低下だ。
満員電車の通勤って体力けっこう使うからなー。去年の十二月の入院、一月に退院して自宅療養、二月から復帰はしたけど久瀬さんの送迎付き(帰りだけは七割電車だけど)。
やっぱりこれは久瀬さんにもう一度電車通勤の交渉をしなければ!

そうは思っても今自分の体力に自信がない私は週明けの月曜日も久瀬さんお迎えの車に乗っています。

「今日からは残業減るからね、たぶん。」

と言われたが土日休んでも体は重く頭が回らない。

残業減るの?まだ仕事山積みよ?

どういう事なのか分からないまま出社してやっと久瀬さんが言ってた意味がわかった。
四月からの予定だったアシスタントさんが急遽今日から来てくれることになったのだ。
彼女の名は田丸千佳さん。私がここ東京に来るまでアシスタントを務めていた人らしい。立花さんの仕事のカバーもしながら自分の仕事もこなしていたと言うだけあって、通常通りの体制、いや確実に私が復帰してからでは一番スムーズに仕事が進むようになった。








田丸さんが来るようになって数日後の昼休みに

「ねえねえ朱音ちゃんって久瀬さんいつ落としたの?あの人絶対に落ちない人だったのに!」

いきなりの田丸さんの質問に“ぶーっ”と食べていたお弁当を吹き出しそうになった。

落とした  って何!?

「千佳さんも一目でわかりました?あの久瀬さんの溺愛っぷり!」

「あー、溺愛!まさにそんな感じね。」

「でしょー。朱音が入ってわりと直ぐくらいからあれですよ。入って直ぐの頃、朱音が椅子から落ちた事があって、その時にはもう久瀬さん・・・」

私をそっちのけで盛り上がる三人のお姉さま達・・・。以前田丸さんが勤めていた時から仲が良かったらしく、みどりさんが『この三人組むとすごいテンションでしょ。いつもこれだから早く慣れてね。』と耳打ちしてくれた。
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