いちご


大学の敷地内を、中庭を抜けて門へと向かった。


午後からの講義がないため、自然と大学を出る所だった。



特に瑠衣斗と話をする訳でもなく、ぽかぽかと暖かい陽射しを受けながら、二人で歩いていた。


隣の瑠衣斗は、大きな欠伸ばかりしている。


周りでは、木陰でお昼をするカップルや、芝生の上で昼寝をしている人までいる。


ほのぼのとしたお昼時と言った所だろう。


「ももさぁ、さっき何か考え事してた?」


瑠衣斗が立ち止まったので、自動的に立ち止まって見上げると、腕を組んで真っ直ぐ前を向いた瑠衣斗が目に入った。



何か態度でかい…のはいつもの事か。


「…さっきって?」


主語を付けて話してほしい。


「ベンチで鼻提灯作って寝る前」

「……作ってないし何も考えてない」


「…そっか」


「何で?」


「別に~」


そう言って歩き出してしまった。


…よく分からない。


そんな事を思いながら、先を行ってしまった瑠衣斗を追い掛けた。



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