夢のウエディング イン イタリー
私たち、婚約しました!
どこだったかなぁ・・・よく覚えていないんだけど。

どこかの公園だったんだと思う。

2人で、芝生に寝転がっていた。

美和が、伺うように、拡嗣(こうじ)を見て言った。

「あの、ね。あたしと結婚してください。イタリアで」

「・・・喜んで」

「えっ?いいの?してくれるの?あたしと、だよ?」

「分かってるよ、イタリアで、だろ?」

美和は、以前、母親とイタリア旅行に行って現地で挙式するカップルに出会い、それ以来結婚するならイタリアで、2人っきりで、と思っていた。ことあるごとに、拡嗣には話していたのだが、ここまであっさりとOKされるなんて!

その夜の夕食は、イタリアンレストランで。

「まず、僕が美和ちゃんの家に挨拶に行かなきゃね」

「そうね。そのあと、近いうちにあたしがコージくんの別府のお宅にお邪魔しなきゃね。わ~、緊張するぅ」

「僕もだよ。娘はやらん!とか言われたらどうしようか、と思ってる」

「まさかぁ」

「分かんないよ。美和ちゃん、パパっこでしょ」

美和は苦笑する。拡嗣は心配しすぎだ、と思う。

「コージくんなら、大丈夫。あたしは、どんな格好して行けばいいんだろう?」

「普段通りでいいんじゃん?」

「もうっ、適当だなぁっ!」

美和はこっそり、微笑んだ。こんな会話も懐かしく思うときが来るのだろうか。

「じゃあ、今度の日曜日にお宅に伺うよ。お茶の時間、とかでいいのかなぁ?」

「うん、それでいいと思う。コージくん、コーヒー駄目なんだよね。」

「そう、苦手。匂いだけでもキツイ」

「分かった。紅茶にするね」

「ありがとう」

そして、その日も横浜駅の近くを手をつないでお散歩。ビルとビルの合間で熱く、熱くキス。何度も何度も繰り返す。もう、ず~っと離れたくない、と美和は思う。でも、11時過ぎに帰らないと母が不機嫌になってしまう。門限は12時だけれど、実際はもっと早い。最後に長くハグをして、

「帰らなきゃ、ね」

「そうだね」

「来週のこと、言っといてな」

「うん」

拡嗣は、東海道線で平塚の独身寮に、美和は東横線経由で東中野の自宅へ帰った。
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