腕の中の静けさは・・・

「シオナ?」


オレを見あげながら一生懸命笑おうとしているシオン。





「だいじょうぶ?」

コクリ小さくうなずく。



「オンマ、、心配してるよ?」

「ン。」

「どうする?自分で話せる?アッパが話そうか?」


「・・・・・・・」


下を向いたまま考えてる様子。



ぎゅって抱きしめながら答えを待った。








しばらくすると「アッパ・・・」って腕の中から声が聞こえた。



体を離してシオンを見る。





「ぼく、、じぶんでオンマにおはなしする」

「そっか。」

「うん」



そしたら腕の中から飛び出たシオンがトコトコ歩き出した。



「シオン?」


「ん?なあにアッパ?」

「あっぱみてるから、そばにはいないけどちゃんとシオンみてるから」



うんって笑顔でうなずいたシオンのあとを歩く。




部屋をでてリビングに行くとカノンをおんぶしてキッチンにいた天音がオレに気付く。
心配そうな表情のままの天音に笑顔を返す。

小さいシオンからはまだ見えていない。


天音が何か言いかけたときにシオンがキッチンに顔を出す。




「オンマ?」って。

驚いたように天音がシオンに視線を向ける。








夕飯の準備に取り掛かっている天音の背中にはカノン。
そんなオンマだってことにすぐに気付くシオン。


お互いが困った顔(笑)



「カノンちょーだい(笑)」

「え?なに?ちょうだいって?」

「オレがおんぶする(笑)」

「え?」

「おんぶして夕飯つくるよ?」

「え!いいよ!いい!!!」

「強烈な拒否り方。笑。へこむわ~~」



わちゃわちゃしながらカノンを抱き上げておんぶの体勢のユソンが耳元で
「話、聞いてやって」って。



ああ、そういうことか。

なんとなくシオンを視界に入れると黙ったまま私達を見ていた。


パ、とみると困ったように笑った。



ふふ・・・(笑)





「シオナ。」

「ん?」

「今日はあっぱーが夕飯作ってくれるんだって、楽しみだね~」

「うん」

「オンマひまになったからさ・・・?」

「・・・・・・」


「一緒にあそぼっか?」

「うん!!」





シオンと手を繋ぎ歩く。

私を引っ張るように歩くシオンに連れて行かれたのはリビングの一角。
そこはまさにシオンの遊び場だった(笑)


カウンター越しでユソンも笑ってる。



「オンマ?」

「あ、、うん。何するの?」

「つみきしたい!!」

「うん、いいよ~」




しばらく遊んでいると
「あのねオンマ・・・」ってゆっくり話し出すシオン。


その声はやっぱり似ていて安心する(笑)





「オンマ?」

「ん、」

「オンマはボクのことスキ?」

「うん。だいすき」

「ふふ。ボクも」



・・・・・・・・・ユソン?

どうすんのこれ?
なんかドキドキするんですけど・・・?


ちっちゃいユソンに見えてきた。。(笑)




でも?シオナ?急にどうしたの?

やっぱりさみしいのかな?
カノンができて少し余裕がなかったのかもな・・・








「ボクね、ノノンもスキ。」

「ふふ、やさしいおにいちゃんだもんね」

「うん!」



やっぱりそうなの?



「オンマ、あのね、ユメってしってる?」

「ゆめ?」

「うんユメ」


「ねてるときにみるゆめ?」

「え!オンマも、、みたことある?」

「うん。あるよ。シオンもあるの?」

「・・・・・・・・」

「シオナ?」


「ん、、、ある」

「へぇ~どんなゆめだろ。」



私を見上げるシオンがすごく驚いた顔をしていた。

その顔に驚いた私は思わずユソンを見てしまう。



その動作につられてシオンもユソンを見る。


当然のように合う視線。



なにか察したのかゆっくり私とシオンの元へ来てくれる。
おんぶしたままのカノンのオシリをゆっくりあやしながら腰を下ろす。








「同じ顔して見ないでくれる(笑)。」

って笑ってるけど、ユソン・・・
私なんか悪いこと聞いちゃったみたいだよ?




「シオナここおいで」って自分の足の上を叩くユソン。
「ん」ってうなずきながらユソンのもとへ行くシオン。



「どこまではなせたの?」

そういいながらシオンの顔に耳をよせるユソン。
そんなユソンの耳元に「ユメのおはなし」って内緒話のシオン。




「そっか、がんばれそ?」

ジッとユソンを見るシオンがユソンの上から降りて元の位置にもどった。




さっきとは違った意味のドキドキを抱えてシオンを見つめる私。
そんな私とは対照的にニコニコしてシオンを見つめるユソン。






「ボクね、みるんだ。ユメ。いっつもおんなじなユメ」

「そうなんだ。」


言い過ぎないように・・・





「そのユメね?」
「うん」


「あのね・・・オンマがいなくなっちゃう、、、ユメなんだ。」

「ぇ?」



ユソンをまた見てしまうと優しい顔をして何度もうなずいていた。




「オンマ?」

「うん」



「いなくなったりしないよね?」




いなくなる?わたしが?




「オンマがいなくなるユメなの?」

「ん・・・」


たまらずシオンを抱きしめる。
ぎゅーーーーーぅって抱きしめる。





「オンマどっこもいかないよ。いくわけないじゃん。だいすきなシオンやカノンがいるのにどこもいけないよ。いかないよぉぉ、、、、、泣」




「よかった」って言いながら小さな手で何度も何度も涙を拭ってくれるシオン。




その後、
ユソンが作ってくれた自称「栄養いっぱい具だくさんスープ」を笑いあいながら食べて
お風呂も4人一緒。




幸せをかみしめる・・・・・・


ベッドに入ってぐっすりの2人を見つめる。






「シオン大きくなったっすよね」

「うん・・・」


「すぅーっていなくなっちゃうって泣いたんすよね今日」

「ん・・・」

「でもねオンマなのかはわからないって(笑)」

「え?」

「でも声はオンマだって。混乱気味でしかも今日はいなかったから余計に大泣きでさ」

「そーだったんだ・・・」




「ねぇ?」

「ん?」

「アメリカ行き少し伸ばそう!ってか決めたから」

「え、そんなことできるわけ、、」

「うんん。大事。今が大事なとき。家族が一番っすよ」


って言いながら怪しく動き出すユソン。






「そこにふたりいるから、声、今夜はガマンして(笑)」



優しく触れる指。
甘く絡み合う唇。

驚いたままの私に笑いながらひとつになる・・・・




愛してる・・・・










< 148 / 308 >

この作品をシェア

pagetop