満月の夜異世界へと繋がりました
せめて血が止まれば!
止まって!せめて痛みが無くなってくれたら!そうだ、何か傷を押さえる布みたいなのあったっけ?頭を色々なことが駆け巡るけど自分が何も持たずに来たことに後悔の念しかない
近くだからって油断した!


とりあえず必死に患部に手を触れてみると何故かじんわり暖かくなってくる
……あれ?光?
ぽうっと白く手元が光ったかと思うと傷ついた患部がゆっくりと治って
いく…恐る恐る患部を見るとアーサ−くんの膝小僧の傷は跡形もなく綺麗に消えていた

「お姉ちゃん…今、何したの?」

「え?何って」

「ぼ…僕の傷…治ってるよ、お姉ちゃんが今、魔法で治したんだよね?」

魔法で治した?
あたしが?このあたしがアーサ−くんの傷を?えぇ~!?

傷を一瞬で治したあたしにアーサ−くんも驚いたようだけどあたしがもっと驚いた!あたし…何かしたっけ
何をどうしたんだ!

頭の中がパニックで一杯のあたしは
それからどうやって家に帰ってきたのか全く覚えていなくて暫くの間
放心状態

考えれば考えるほどわからないことばかり…何故?どうして?
問いかけても答えは出るはずもなく
あたしは妙な疲れを覚えて身体を横たえる、するとそのままぷっつりと意識を手放した






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