幼馴染みの彼はずるい人
 こんな風に話したのも久々で自然と笑みがこぼれた。
 「しゃあねぇ、おばさんたちに聞くか」
 「あ!ずるいっ」
 「ずるくねぇし。お前が教えてくれないからだろ」
 「教える義務ある?」
 「あーりーまーすー!幼馴染みだから教える義務はあーりーまーすー」
 「なーいーでーす、そんな義務は」
 「ちぇ、お前が教えてくれたら言おうとしたのに」
 玲王は拗ねたふりをする。
 「…有山高校だよ、私が受けたのは」
 「…マジ?」
 「うん」
 玲王は別段驚いていない様子だった。
 「まあ、分かってたけどね」
 「は?」
 「俺も今日そこ受けたから!また一緒かもな」
 玲王は二ッと、してやったりみたいな感じで笑う。
 「は、え?どういうこと?」
 理解が追い付かない。
 「知ってたよお前のことは。知らないとでも?何年一緒にいると思ってたんだよ」
 そう言いながら私の方に近づいてくる玲王。
 「どうして距離をとっていたのかも全部」
 顔と顔の距離が数センチしかない。
 「我慢しようかなって思ってたけど無理だったわ」
 そう呟いた次の瞬間。
 玲王は私の口に少し触れるだけのキスをした。
 「好きだよ、ヒナ。誰よりも」
 私はとっさのことで両手で顔を隠す。
 「ヒナは言ってくんないの」
 「ほら言ってヒナ」
 甘くとろけるような感じ。
 「…好き」
 恥ずかしいけど手をどけて玲王を真っ直ぐに見る。
 「うん!」
 玲王はよくできましたと言わんばかりに私を抱きしめる。
 お互いの親が帰ってくるまで私達はそうしていた。


 「もうずるいよ~」
 「ごめんごめん」
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