極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
「もうすでに予約をしてあるんだから、美容師さんは時間をとって文香を待っているだろうね。それなのにギリギリになってキャンセルなんて、お店にとっても失礼だよ」
「それは、そうだけど……」
「それに、未来がママをゆっくりさせるために葉山さんとのお留守番を計画したのに、失敗したらどんなにがっかりするだろうねぇ」

 そう言われると、もう断る言葉が見つからなくなる。

「ほら、意地を張らず素直に好意に甘えて行ってきなさい」
 
 私が口を引き結んで黙り込んでいると、祖父はしわしわの手を伸ばし私の頭をぽんとなでた。
                     
                    

 指定された美容室に行った私は、想像以上の豪華さに目を回しそうになった。
 どうやらモデルや女優も御用達の有名なサロンらしい。

 結貴が先に話を通していてくれたおかげで、名前を言うだけで奥の個室へと案内してもらえた。

 美容室だから髪を切るんだろうと思っていたのに、はじまったのはエステだった。

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