極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
 娘がいたのには驚いたけれど、未来ちゃんは素直で元気でとてもかわいらしかった。
 
 ほかの男の子供のはずなのに無条件に愛おしいと感じたのは、くりくりの目元や照れた仕草が文香にそっくりだったからかもしれない。
 
 純粋に、助けになりたいと思った。
 支えてあげたいと思った。
 そして想いがあふれて好きだと言ってしまった。
 
 完全に先走った。
 あの告白は失敗だった。
 もっと距離を縮めて信頼関係を気付いてから想いを伝えるべきだった。
 
 日曜のことを思い出し、俺は額に手を当てる。

「それにしても結貴の想い人は、シングルマザーだったんだ。しかも未亡人」
「そう。彼女は亡くなった男のことをまだ愛してる。それなのに、相手の気持ちを考えずに想いを伝えて玉砕した」
「そりゃそうだろ。再会したばかりで告白なんて、なんの覚悟もなく気まぐれで求愛してきた馬鹿男だと思われて当然だ」

 確かにその通りだけれど、もうちょっと言い方を考えてほしい。

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