極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
「そういえば、体調は大丈夫なのか?」
「体調?」
「前に、体調がよくなくてうちの母に病院を紹介してもらっていただろ」

 その言葉に、五年前のことを思い出す。
 
 結貴の実家に挨拶をしたとき、最近よくお腹が痛くなると言うと、結貴のお母様が心配して病院を紹介してくれたのだ。

 そのあと、紹介された病院で医師から妊娠しづらい体質だと告げられた。
 結貴と結婚を考えていた時期だったから、ものすごくショックだった。
 
 結貴にも伝えないといけないとわかってはいたけれど、子供ができないと知ったら結貴は私から離れていくかもしれない。
 そう思うと怖くてなかなか切り出せなかった。
 
 そうやって迷っているときに、お母様から『息子と別れてくれ』と頭を下げられた。
 ショックだったけど、心の中で少しほっとしている自分もいた。
 
 だって、子供を産めない私は葉山製薬の跡取りの結貴にはふさわしくない。
< 65 / 197 >

この作品をシェア

pagetop