好き、なんだよ。
「奈和ちゃん!」



春くんが飛び出してきて私を強く強く抱き締めた。



「春くん...」


「奈和ちゃん、ごめん。本当にごめん。あのカメラに映すのは奈和ちゃんだけだって約束したのに...。本当にごめん」


「大丈夫だよ。もう...大丈夫」



春くんが男泣きするのを私はただ受け止めた。


悲しいことは悲しい。


辛いことは辛い。


嫌いなことは嫌い。


やりたくないことはやりたくない。


そう言えたらどんなに楽だろう。


やはり私は傷つくのを避けて飲み込むことに徹してしまった。


そして残ったのは、何も変わらない濁りきった心だった。


こうして、高校最後で最大の学校行事が終わりを告げた。


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