甘い秘めごとのそのあとに



第三者の俺がそれを感じているわけだから

きっと委員長は十二分に実感しているのだろう。


それがこのふたりらしいと、俺はまた納得したのだった。



「俺と佐伯さんは、まだまだ伊織と委員長のようにはなれそうにないな」

「何年想って好きで付き合ってると思ってんの?…なんつって。けど、佐伯さんと千尋にはいつも本当に感謝してるよ。あともちろん晴人にも」

「っ、」

「三人が居なかったら、こんな風に最高の学校生活を送れてないからさ。みんなと出会えて本当に良かった」




――…あぁ、そうだ。

この男は、成瀬伊織は


きちんと感謝や想いを口にできる人間だと、俺はそこが人として最も尊敬していて好きなところであると、忘れかけていたなんて。




「これからもよろしく、千尋」

「当然だ。よろしく頼む」

「あと晴人も」

「いないけどな」

「「ははっ!!」」




先のことなど分からない、そんな日々を生きていても

きっと5人の友情は、一生続いていくものに違いない。


そんな清らかな感情に包まれる俺を、夕日が優しく見守っていた――…。





【Side 碓氷千尋 end】



◇◇◇

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