甘い秘めごとのそのあとに



「紗和、口開けて」

「……っ」

「いい子」



…包み込まれるのは、有無を言わさぬ色気。

つめたいはずの舌は伊織に捕まったら最後、逃げることはできないと知っていた。


――…甘くて、甘くて、たまらない。


チョコとバニラが合わさった既知の甘さは

脆く崩れてしまう建前だと、疼く身体が物語る。


とろとろに甘いのは、…彼のせい。



「…ん、…っふぁ…!」

「……、っ」



弾けたように声を上げると

瞳の奥に静かな焔を携えていた獣が目を覚まして



「――…抱くよ」



大きくて武骨な手が、いとも簡単にわたしを姫抱きにする。

優しくて、けれど力強くて、甘美さを含んだまま。


シーツの波に身体を預け、今日もまた甘さに溺れたのだった。

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