甘い秘めごとのそのあとに
――…次の瞬間
わたしの口は、伊織によって塞がれていた。
後頭部に添えられる手も、そのキスも、やさしい。
「…んっ…」
「…あんまり可愛いこと言うと、本当止まんないから」
「……すき」
「っ!…ったく…。俺の気も知らないで」
その愛しさから笑みをこぼすと
彼もまた眉を下げながら、仕方ないなと言うかのように微笑んだ。
「今まで通りが一番ね。何事もやり過ぎは良くないけど、わたしたちのペースで」
「…ん。これからも俺と紗和らしく、一緒に居られたらそれだけで十分」
「ふふっ。これからもよろしくお願いします」
「こちらこそ、お願いします」
ふたりで手を繋いで
笑い合った時間は、何よりも大切な宝物で。
――…もう、夏休みが終わる。
わたしと伊織の攻防もここまでだ。
これからもずっと、仲良しで居られたらいいな――…。