禁断プラトニック~元若頭が惚れたのは女子高生~

 それはどう考えても俺に向けられた告白だったが、すんなり受け入れられるわけがなかった。

 みりは、たまたま自分が辛いときにそばにいた俺への感謝を好意とはき違えているとしか思えない。俺は前科者だし、年齢だって獄中で四十を超えた。かたや彼女はまだ高校生だ。

 こんなことになるなら、優しくするべきじゃなかったのか……?

「おいお前、一時の気の迷いで人生を棒に振るな。俺はな、今までさんざん悪事を働いてきた男なんだよ。暴行・脅迫・監禁……人を殺そうとしたことすらある。こんな男と関わったら不幸になるだけだ」

 俺は淡々と諭したが、振り返ったみりはよどみのない瞳をまっすぐ俺に向けて言う。

「でも……私は、烈と関わったことで、死ななくて済んだ。きれいな海が見れた。初めて、男の人にキスしたいって思った。……全然、不幸になんかなってない!」
「みり……」

 彼女の言い分は完全に子どもの理屈だと思う。しかし、それが本心だということはシンプルに伝わってくる。

 ……彼女は俺とこうして海を見ている今が、本当に幸せなのだ。

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