君が生まれて来てくれたこと僕が出会えたこの世界がとても輝くなら


二粒

母と父を亡くして早い時の流れが過ぎる
私はもう中学生だ
もちろん人の姿をしている
今日も憂鬱な朝を迎えた
そう今日までは思っていたのだ
学校へ行く道路で元気よく私に声をかける人間
「おはようございます」
私は笑うこともせずそう言うと人間は微笑む
そんな笑みすら嘘なのに
私は人より五感が優れている
妖も見えるがそれは別として見ているから関係ない
学校の門を過ぎる
すると
血の匂いがした
そう
これが
アイツとの出会いだった
(血の匂いがする)
私はそちらの方をじっと見る
いつもなら動物の怪我の匂い以外興味はないがこの時だけは違った
私は地を蹴り飛ばし屋根に乗る
そして屋根を走り、そっと下を覗く
そこでは殴り合いが行われていた
それも卑怯な手で
私は溜息を吐きそれを見つめる
無勢に多勢とは卑怯極まりない

一人の男はそれに負けていない
(ほぉ)
私は鼻で笑いそこに向かって飛び降りる
ーーーーストン
軽々と着地して相手を見た
相手はこちらを見て唖然としている
そしてすぐニヤニヤと笑って来た
「気持ちが悪い笑みをするな」
本当に気味が悪いから吐き気がする
「な!?テメェ!」
殴りかかってくる相手を蹴り飛ばす
私は鼻で笑い、ギロリと睨む
「無勢に多勢とは卑怯だな」
私の言葉にカチンと来たのかボス的存在がこちらに来た
「お前、良い女だな」
ニヤリと笑う男
「何だ、お前には興味ない」
そう言い通り過ぎる
「は?手加減しねぇぞ!」
腕を掴まれた
私は溜息を吐き、その腕を捻り上げる
「あまり私を怒らせるな」
めんどくさい
私の睨みに男は怖がり走り去ってく
私は怪我を負っている男の元へ近付く
「触んな」
男は自分を睨み、舌打ちをしていた
私はそれを無視して傷に触れる
男は少し顔を顰めた後吃驚していた
大きな傷が消えていたから
「ふん、これで良いだろう」
私は歩き去ろうとしたが男が呼び止めた
「お前、名前は?」
「何故教えなければならない」
もっともな言葉に男はうろたえた

その目を見て私は負けた
「暁月夜風」
私は翼を出して飛び立つ
「龍………人」
男がそう呟いていたのは気のせいだろう
この世の中に知っている人は少ないからだ
屋上につき寝ていると扉が大きく開く
「!?」
目をかっと見開き飛び退く
「居た!夜風!」
そこにいたのはさっきの男
「お前か、何の用だ」
私はうんざりしたような顔をする
「お前、龍人か?」
心の中で心拍が上がる
「だったら何だ」
私の睨みに男は少し困ったように笑う
「友達になろうぜ!」
こいつは………
「嫌だ」
馬鹿だな
私はコロンと寝転がり寝ようとする

男は負けじと隣に転がる
「俺は鬼頭凛月」
名乗る男に
「興味ない」
私はギラリと睨みながらそう言うが鬼頭はニコニコとしていた
「夜風は龍人なら龍になれるだろ?」
「そうだ」
私は鼻で笑いギリと睨む
「見してくれよ」
「何故見せなければならない、お前如きに」
鬼頭はそっかと項垂れる
「でも諦めねぇから」
「勝手にしろ」
これからだ
俺にやけに絡んでくる奮闘記の話は
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