リボン~もう1度君に、プロポーズ~
「か、風斗、離してあげなさい…。

この人にも何か言い分がありそうよ…」

雪穂さんに肩をたたかれて、
「言い分って…」

お兄ちゃんは仕方がないと言うように胸ぐらをつかんでいた手を離した。

周晴さんはゴホゴホと咳をして呼吸を整えると、
「俺が父から聞いた話と全然違うんですけど…」
と、言った。

「えっ?」

これに対して、私たちは声をそろえて聞き返した。

「話が違うって…会社が経営難だと言うのは?」

「特にそんな様子はありませんでしたが…」

「政略結婚をするとか?」

「そんな予定はありません」

「婚約者がいるとか」

「いません」

お兄ちゃんの質問に、周晴さんは答えた。

「えーっと…」

お兄ちゃんが私と雪穂さんに視線を向けてきた。
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