やっぱりあなたと ~クールな上司は強がりな部下を溺愛する~
「真!」
そう言って公園の向こうからかけてくる高辻の姿を見た莉緒はその場からすぐに離れた。

それは高辻と一緒に妻も走ってくるのが見えたからだ。

公園の大きな木の後ろから真が無事に両親と会えたことを見届けると莉緒はくるりと体の向きを変えた。

これで終わりだ。
ちゃんと終わりにできた。

こらえていたものがあふれ出して止まらない。
莉緒は公園から離れて、誰もいない真っ暗な狭い道路の真ん中でしゃがみこんだ。

これでよかった・・・
これでよかったんだ・・・
そう言い聞かせながら膝を抱えて涙を流す。

莉緒はずっと手にしていた和哉のウインドブレーカーを抱きしめるようにして泣いた。
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