やっぱりあなたと ~クールな上司は強がりな部下を溺愛する~
『どこにいる?今、どこだ?』
和哉の声のトーンが低くなる。
「・・・」
『莉緒』
更に低くなった声で和哉は莉緒の名前を呼ぶ。
『今、どこにいるんだ?』
それでもどこまでも優しいその声に、莉緒は自分の居場所を何とか嗚咽しながらも伝えた。
『今から行くから。そこにいろ。動くなよ。』
そう言って電話は切れた。

莉緒はその場でうずくまり、ウインドブレーカーを抱きしめたまま泣き続けた。

しばらくして、莉緒が道路の端の壁に寄りかかるようにしてしゃがんでいると、一台の車が近づいた。すぐに和哉の車だとわかる。

和哉は車を停めるとすぐに運転席から飛び出すようにおりてきて、しゃがんでいた莉緒を抱きしめた。
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