やっぱりあなたと ~クールな上司は強がりな部下を溺愛する~
「なぁ。市橋、古屋、一緒に飯行かないか?」
ちょうど昼休憩になり、和哉が莉緒と古屋の席にやってきた。
和哉の机の上はかなり乱雑に資料やらデスクトップやらが置かれている。
「はい」
上司の誘いを断る理由もなく、莉緒と古屋は頷いた。
「じゃあ、市橋のおすすめの店に連れて行ってよ。」
挨拶した時はかなり近寄りがたいような、少し冷たいくらいの印象を持つ雰囲気だったのに、急に和哉は人懐こさを出してくる。
莉緒はこんなにもつかみにくい性格の人は久しぶりだと、思っていた。

「和・洋・中、ご希望はありますか?」
莉緒の言葉に和哉は少し考える。
「うーん」
そして少し悩んでから、和哉は莉緒に視線を向けた。
「任せる!」
和哉に気づかれないように心でため息を吐きながら莉緒は頷いた。
「お口に合うといいんですが。」
「センス問われるな。」
いちいち頭にくる。とっつきにくい!莉緒は顔では微笑みを浮かべながら深く長ーいため息をついた。
まだ名乗った時に顔を見て笑われたことを莉緒は引きずっている。
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