やっぱりあなたと ~クールな上司は強がりな部下を溺愛する~
「部長、ありがとうございました」
莉緒が寝転がりながら横に大の字になる和哉を見た。
「いいえ。」
「部長がいなかったら・・・私心折れてたかもしれません。」
「そんなやわじゃないだろ。俺がいなくてもお前は絶対に道を見つけたはずだ。」
「・・・でも、今回は部長にすくわれました。正直動揺して、余裕がなくて。でも、部長から笑顔もらって、楽しめました。」
「そりゃよかった」
少し照れ臭くて和哉が目を閉じる。
「この店は私の思い出に残ります。部長と一緒の思い出と。」
「俺も。」
和哉はふと目を開けて莉緒を見る。
「俺もこの店舗は忘れられない。忘れられなくなった。市橋のおかげだな」
和哉はそう言って再び目を閉じた。

莉緒は和哉に微笑んでから、天井を見上げる。
自分たちの手で塗り上げた壁を見渡しながら、作業している時の和哉を思い出していた。

真剣な顔で作業する和哉は、莉緒にまぶしく映った。
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