愛を贈りたいから〜これからもずっと〜
展示会がとりあえずは、無事に終了して、仕事が一段落した週末、私は久しぶりに仙台を訪れた。


仕事がどんなに忙しくても、私は聡志の成績や動向は、欠かさずチェックしてるし、連絡だって絶対に3日は開けないようにしてる。


なかなか会えないのは、相変わらずだけど、それでも神奈川遠征と東京遠征のメンバ-に去年は1回も選ばれなかった聡志が、今年は既に2回選ばれていて、とりあえずその時に一緒に食事をすることが出来た。


ケガで出遅れて、厳しいシーズンのスタ-トとなってしまった聡志だけど、GW明けからはようやく、キャッチャ-として実戦に復帰することが出来た。試合にも結構出してもらってるんだけど、でも正直、成績が伴わないのが現状。


私が仙台に着いた日は、あいにくの雨。でもおかげで予定されていた試合が中止になり、私達は予定より早く会えることになった。


「こんなことを言える立場じゃないんだけど、今日の雨はまさしく恵みの雨だなぁ。」


「お陰でデ-ト時間増えたもんね。」


ちょっと窮屈だけど、相合い傘で歩きながら、そんな会話を交わす。お互いのぬくもりが感じられて、多少濡れるのなんて、全然気にならない。私達は例によって、これから堀岡さん夫妻のレストランで少し早めのディナ-。予約した時間を早めてもいいかという私達の我が儘に、ご夫妻は快く応じて下さった。


東京でも、地元神奈川でも、私達が会っていても、気にする人なんて誰もいない。でもここ仙台では、相変わらず聡志は有名人。結構目ざとく見つけられてしまい、サインをねだられることも少なくないし


「可愛い彼女さんですね。」


なんて言われて、こちらが赤面させられることもある。だから繫華街からはちょっと離れてはいるが、仙台市内で、ちょっとした隠れ家的雰囲気で利用出来、その上、味は抜群の堀岡さんのお店は、本当にありがたい。


お店に入れば、ご夫妻はホントの子供が来たみたいに歓迎してくれるし


「今度新作を作ったんで、是非由夏ちゃんに食べてみて欲しいんだ。」


なんて言って出てくるお料理は、明らかに値段と釣り合ってない豪華さと美味しさ。私達は恐縮しながらも、楽しいひと時を過ごさせてもらった。
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