愛を贈りたいから〜これからもずっと〜
それからの時間は、本当にあっという間だった。


寮に居れば、ものの10分も掛からなかったキャンパスに、1時間以上掛けて通い、結構真面目に講義を受け(当たり前か)、身体がなまらないように、野球を続ける同級生や後輩達に付き合ってもらって練習もやる。


だけど、それに多くの時間を費やして来た今までと違い、仲間と遊びに行く機会が増え、更に高校時代の野球部の仲間達が久しぶりに集まって、開いてくれた祝賀会。更に俺の壮行会とみんなの社会への旅立ちを祝した高校のクラス会では旧交を温め、そして多くの激励をもらった。


そして、あいつとのデ-ト。俺はそれこそ毎日でもいろんな所に行きたかったけど


「気持ちは嬉しいし、私も同じ気持ちだけど、トレ-ニングはちゃんとやらなきゃ、絶対ダメ。付き合ってあげるから、これからランニング5キロ。」


なんて言って、自転車で伴走してくれる彼女って最高だろ?


もちろん一緒に過ごしたクリスマスイヴ、夜中に車を飛ばして、寄り添って眺めたご来光。思い出だって、いっぱい作った。


年が明け、学校が再開すると、すぐに学年末試験。俺ら4年生にとっては、卒業が掛かった大切な最後の試験。


だがそれを前に俺は、いよいよ仙台に向けて旅立つ時を迎えた。


2月1日にプロ野球各球団はいっせいにキャンプという、シ-ズンを迎えるためのチ-ム練習をスタ-トさせる。それまでは、各自がそれぞれ、その日に備えてトレ-ニングを積むんだけど、俺達新人選手は、球団施設に集められ、合同で練習に入る。まだプロ野球というものの勝手も何もわからない俺達にとっては、ありがたくも大事な機会だ。


その前日までに入寮を済ませ、その日に備えなければならない。そして、明日は出発という日の午後、俺達は待ち合わせをしていた。
< 16 / 330 >

この作品をシェア

pagetop