愛を贈りたいから〜これからもずっと〜
そして、聡志は旅立って行った。10年前と同じように仙台へ。


あの時の私達は、小学校の卒業式を終えたばかりの12歳。当時の私達にとって、仙台という場所は、とてつもなく遠くに思えた。


もう2度と会えない、本気でそう思った。友達や近所の人達に車の中から、手を振って別れを告げる聡志を、私は見送りに出ることが出来ず、1人部屋に籠もって泣いていた。


そして、この日も私は聡志を見送ることが出来なかった。朝から授業があったから。


『じゃ、行って来る。』


東京駅のホームで自撮りした写真が添付されて、こんな簡潔なLINEが入って来た。


『うん、頑張って。』


講義中だったこともあるけど、私の返信もその一言だった。


前日、高校のグラウンドを後にした私達は、愛し合った。お互いの気持ちとぬくもりを確かめ合うように、強く、激しく・・・。


そう、私達はもうあの頃の子供じゃない。仙台まで新幹線を使えば、3時間もあれば着けることも知ってる。


だけど、私達の生活はこれから一変する。社会に出て、自由も得られるだろうが、同等かそれ以上の責任も負う。


時間は決して自由にならない、それにやっぱりそんな気楽に行き来出来る距離じゃない。いわゆる「遠恋」になることは間違いない。


離れている、会えない、愛し合えない寂しさ、辛さはきっと今の想像を遥かに超えるものだろう。


だけど、私達の絆はそんなヤワなものじゃない。昨日、お互いにキチンと確かめ合った。


「1日も早く迎えに来られるように、死ぬ気でやる。見ててくれよな。」


そう言って、強く抱きしめて来る彼の腕の中で


「うん、待ってる。」


私は甘えながら、そう答えた。
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