この愛にタイトルなんていらない〜卒業、君への想いにサヨナラを〜
初恋は実らない〜捨てた恋心〜
私、浅葱美空が初めて恋を知ったのは、小学六年生の時でした。

小学校高学年になってくると、女の子同士の会話の中には必ず恋バナがありました。私のグループも「××くんが好き!」というような話を何度かしたことがあります。

私は当時、恋というものは小説の中でしか知りませんでした。しかし、好きな人と結ばれて幸せになっていく主人公などを見て、恋ってどんな感じなんだろうと胸をときめかせていました。

少女漫画や恋愛小説の影響で、私は好きになった人と必ず幸せになれると思い込んでいました。甘いラブストーリーに憧れを抱いていたことは、今でも鮮明に覚えています。

ある男子を気になり始めたのは、小学六年生の秋頃でした。

同じクラスの子で、どちらかと言えば大人しい目立たないタイプの子だったと思います。絵を描くのが上手な子でした。

その子と深く関わるようになったのは、理科の実験の時でした。同じ班になり、一緒に実験をするうちにその子にだけ不思議な気持ちになっていったのです。
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